ホイアン・ガールズ (ベトナム3)

 
ホイアンはいいところだ。日本人によって架けられた来遠橋、派手に彩られた福建会館など、絵になる建物がたくさんある。食べ物もいい。毎日食べたカオラウをはじめ、揚げワンタン、ホワイトローズなどおいしいものばかりだ。

しかし、なんといっても一番印象に残っているのは、女性だ。それも、若い子。川沿いのレストランに行けば、かわいいウエイトレスさんが上品な英語で丁寧に接客してくれる。オープン・テラスでお茶していれば、女子高生が白いアオザイを靡かせて、自転車に乗って次から次へと目の前を通りすぎる。その姿を見て、桜の花びらが風に舞っている様子を思い出した。そのくらい美しかった。

そんな中、特に印象に残っている女性が4人いる。ホテルの受付係2人と服屋さんの子、そして陶器のお店の子。

ホテルにいた受付係は、1人は25〜30才ぐらい。色が白くてホリが浅く、日本人のような顔立ちで、落ち着いた感じがする。でも、8ドルの部屋を6ドルにまけてもらおうとしたときには、さすがに困っていた。そのときに見せた顔が、最初に見せた落ち着いた感じとはかけ離れていて、とても可愛らしかった。

もう1人の子は、色は黒くて、マレーシア系の顔立ち。年は20才。年の差か、色白の子より活発な感じ。挨拶も元気で力強い。朝、寝ぼけながら階段を下りてレセプションの前を通ると、少し高く大きな声で「おはようございます!」って、笑顔で挨拶される。びっくりして、僕も声が少し高くなって、「お、おはようございまーす。」と。これで、忽ち目が覚めて、気持ちいい朝になった。

この子達は、可愛いだけじゃなくて、親切にもしてくれた。ここのホテルには、8ドルの部屋を値切って6ドル半で泊まった。こういう場合たいてい、安くした分をツアーやバスなどの申し込みで埋めようとして、勧誘がしつこくなる。でも、この子達は違う。勧誘されたのは、チェック・インした後、出かけるときに1回だけ。後はまったくなし。2人合わせてたったの1回。気持ちよく過ごしてもらおうと配慮してくれた。

ホテルの前でバスを待っているときもそうだ。バスが時間になっても来なかったので、心配してわざわざ旅行会社に電話をしてくれた。しかも電話代は無料。とてもありがたかった。

ここまでされると、僕(ら)はもうこの子達に心を奪われていた。ムイネー行きの長距離バスに乗り込むとき、最後に笑顔で「また、会いましょうね!」なんて言われて。「来ます。また、会いに来ます。」って、言葉には出さなかったけど、心の中で思ったりした。このホテルに、もう1回行きたいなあ。

次は、アオザイを作った服屋の子。どこで覚えたのか、日本語で「かわいいー」ってよく言っていた。さっちゃんがアオザイを試着すれば「かわいいー」。ワンピースを着れば「かわいいー」。日本でこんな風にされると、嘘くさくて買うのが嫌になっちゃうものだが、この子はまったくそんな感じはしなかった。それ以上に愛嬌があったから。

お金を払うときも参った。さっちゃんが、「ねぇ。まけてよ。」と笑顔で攻撃したのにもかかわらず、「あなたがこの値段で買ってくれれば、私はHappyになれるわ。Happyになれた私が作れば、絶対いいアオザイができるの。それを着れば、あなたもHappyになれるわよ。」と満面の笑顔でかわす。これにはさすがのさっちゃんも太刀打ちできなかった。

できあがったアオザイを取りに行ったときも、愛嬌をたっぷりと振りまいていた。支払いが終わって帰るとき、さっちゃんに抱きついて、「ありがとうー。またねー。」って、大袈裟に言う。まったく、この子には、本当に参った。

最後の1人は陶器屋の子。僕らが通りすがりに、店の外にあった陶器を見ていると、店から彼女が出てきて、「日本人がよく“かわいい”っていうんだけど、“かわいい”ってどういう意味なの?」とさわやかな笑顔で聞いてきた。さっちゃんは「プリティとかキュートだよ。」って答えると、彼女は、「なんだぁ。私はてっきりセラミックのことかと思っていたわ。」って。僕らは笑ってしまい、その場が和んだ。これが商売のテクニックなのかは分からないが、聞いてきたときの彼女の目は、好奇心に満ちていた感じが僕にはした。

店の中に入り、買おうと思って何枚か陶器を選び始めた。そのとき、棚の奥にある陶器に少し埃がかぶっていて、さっちゃんが手で拭いていると、彼女は刷毛を持ってきて、その埃を代りに取り除いてくれた。それで、僕が冗談のつもりで、その刷毛を指差し、「これいくら?」って聞くと、彼女は真面目に「ごめんなさい。それは売り物じゃないの。」と。でも、僕が少し笑いながら聞いたので、気づいたのだろう。後から、彼女も笑いながら、「100$よ。」と。真面目だけど、ユーモアのある子だった。

その後も、何回かその店の前を通ったけれど、通るたびに店の中から手を振ってくれるし、アオザイを買うのにいいお店を聞きに行くと、お土産用のではなくて、自分が買ったお店を紹介してくれて。とってもいい子だった。

この子たちのおかげで、ホイアンでの生活は本当に面白かった。けど、これって単なるエロ親父の感想になってる?

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