ベトナムの忘れ物 (ベトナム2)

 
 私達二人とも、ちょっとボーっとしているので、旅の間お互いに、忘れ物や落し物には気を付けるようにしていた。それなのに早くもハノイからフエに移動したとき、私はペンケースを無くしてしまった。ペンケースくらいたいしたことではないのだけれど、以前、私がラオスに行ったときのお土産で、くにおくんとおそろいの物だったのでちょっとショックだった。3色ボールペンが無くなったのも痛い。ボールペンはなんといっても日本のものが一番使いやすい。一応、フエに来るときに乗ってきたシンカフェバスのオフィスで聞いてみたけどやっぱりなかった。海外で、しかも移動してしまったら、無くした物や忘れた物はほぼ100%出てこないだろうと思った。

 そんなことを思っていた矢先、くにおくんが青い顔をしている。「どうしたの?」と尋ねると「デジカメの電池の充電器がない」と言うのだ。今、忘れ物は出てこないと実感したばかりなのに...。くにおくんもかなりショックな様子だった。でもよく思い出してみると、ハノイで泊まったホテルのコンセントが、大きな机の下にあり、出発の日の前夜そこに充電器を差し込んでいた。ま〜ちがいない!無くした場所が明確だったので、探しようがある。

  早速、フエのホテルで電話を借りて、ハノイのホテルに電話した。私達の拙い英語で充電器の事を尋ねると、「ありません」の一言。「もう一度見てみてください」とお願いするが、またも「ありません」という無常な答えが返ってきた。「そんなはずは...」とくいさがっていると、フエのホテルの日本語が話せる女性、ナムフォンさんが代わって電話に出てくれた。そしてなにやらベトナム語でしゃべったあと、私達に一言「あります」と。更にフエまで送ってくれるように頼んでくれた。「えぇ〜」さっきあれだけ無いって言ってたのにどういうこと?と思ったけれど見つかったのだから良しとすることにした。「明日の朝届きます」とのことだった。
  が、次の日もその次の日も、充電器は届かなかった。もう一度ハノイに電話してみると「明日届ける」と言われた。これはちょっと雲行きが怪しくなってきたぞ、と思いつつもその言葉を信じるしかない。出発の予定を1日遅らせて、もう1日待つことにした。そして次の日、・・・充電器は届かなかった。「新しいの買えばいいよね」と言ってはいたけれど、期待してしまっていただけに悲しい。がっくり肩を落とした私達を見て、ナムフォンさんがもう一度、ハノイのホテルに電話して交渉してくれた。私達はもうフエの次の町、ホイアンに行くことを決めていたのだが、ナムフォンさんがなんとホイアンまで届けてくれる、という。あまり期待しすぎると届かなかったときに悲しいので、半分諦めつつ、お願いすることにした。

  ホイアンに着き、ナムフォンさんに電話して、ホイアンのホテルの名前を教えると「今、手元にあるので明日届けます」とのこと。何度その言葉に裏切られたことか。しかし次の日、充電器は届いていた。ハノイからフエ、フエからホイアンへと観光客の乗るオープンツアーバスに乗せられて私達の手元に返ってきた。一度は諦めかけていたのでなおさらうれしかった。海外で、ベトナムで、忘れ物をしても、出てくることもあるのだ。すごいぞベトナム。ありがとう、ビンジュンホテルのナムフォンさん。

  その後、私達がホテルをチェックアウトするときに、コンセントに忘れ物がないか確認するようになったのは言うまでもない。

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