ミャンマー大使館攻略法 (タイ)

 
タイの首都バンコクに来て、私達には、まず最初にミャンマーのビザを取るという仕事があった。バンコクの地図を買うと、ミャンマー大使館の場所が書いてあった。朝一番の9時に大使館に行こうと予定していたのだけど、いつもの通り出発が遅れ、さらに節約しようとバスで行ったところ、バス停から大使館までが思いのほか遠く、大使館に着いたのは10時半頃だった。
 大使館の中に入ると、ビザの申請に来た人が椅子に座って順番を待っている。私達は15番目くらいだっただろうか。始めは、これなら午前中の締め切りの12時に間に合いそうだ、と思っていた。ところが、ちっとも列が先に進まない。ただでさえ窓口の仕事が遅いうえに、旅行会社の人たちが、大量のパスポートを持って並んでいるのだった。ただじっと待つしかなく、時間だけが過ぎていった。みんな時計をチラチラ見ている。イライラした雰囲気が大使館中に広まっていった。
 結局、12時ぴったりで午前中の受付は終了となり、「14時にまた来い。」と言われた。並んでいる順番にノートに名前を書く。「午後はこの順番で申請を受け付ける。」と言うので安心し、昼食に出かけた。

 14時20分前に大使館に行くと、「14時に来い。」と言われ、大使館の中には入れてくれなかった。午前中に順番も取ってあるし、14時になっても自分達の順番はすぐにはこないだろう、と考え、のんきにも、この20分の間にお茶をしに行ってしまったのが間違いだった。14時5分頃、再び大使館に行ってみると、「あなたたちの順番はもうないよ、遅れたのがいけない。」という係員の冷たい言葉で迎えられた。中に入ると、午後から申請に来た人と午前中から来ていた人が入り乱れて並んでいる。午後一番の順番のはずだった人でさえ二番目に並んでいた。なにやら裏で取引も行われているような感じだった。午前中に書いた順番は意味がなかった、ということだろう。まあ私達も14時を過ぎてしまっていたので仕方ない、と一番後ろに並びなおした。午後は、全員に整理券を渡しているらしく、私達の順番は26番。午前中より遅くなってしまった。
 私達の後からも、午前中からいた欧米人の女性が何人か入ってきて、係員に「順番はもうないよ。」「なんで時間通りに来ないんだ!」と言われ不満な様子。それでも遅れてきた手前、大きなことも言えず、後ろに並んでいた。
 私達の次に来た女性は、29番の番号札だった。28番の札がないから、という理由だった。ところが、さらに後から来た女性が28番と言われ(札はなかったのだが)29番の女性より順番が早くなった。27番は誰だろう、私達が2人だから26番と27番なのかね〜、などと思っていると、後の方に入ってきたおじさんが27番の札を持っていた。この係員、どうもいいかげんだった。
 ずいぶん遅くに大使館に申請に来た女性にみんながアドバイスしていた。「今日、申請するのはもう無理よ。明日の朝早くに来たほうがいいわ。」「申請に必要なもの?パスポート、申請用紙2枚、顔写真2枚、そして”時間”ね。」と。
 午後も午前中同様、順番は遅々として進まない。2時間ほど経過する。午後の受付は16時半で終了。ミャンマー大使館のことだから、並んでいる人に関係なく時間がきたら受付を終了してしまうだろう。誰もがそう思っていた。またまたみんなのイライラした雰囲気が大使館にたちこめる。

 16時25分、次が私達の番だった。「なんとかいけそうだね。」とくにおくんと話していると、後ろに並んでいた欧米人の女性達が私のまわりに殺到してきた。思わず後ろに身を引く。私達が最後の受付になるとふんで、自分達のパスポートも一緒に提出してくれ、と言う事だった。みんな午前中から並んでいる人たちで、気持ちがよくわかるだけに、まとめて出してあげてもいいかな、と思ったが、ビザ代金と引き換えに貰うレシートが、申請者1人につき1枚のため、まとめて申請してしまうと、ビザの受け取りのときに、ややこしいことになるようだった。私達の前に並んでいたタイ在住の日本人がそのことをみんなに説明してくれた。
 騒がしくなってきたので、受付の順番を仕切っていた係員がやってきた。先ほどの番号札の事もあり、ついに欧米人女性達の怒りが爆発。みんなで係員に猛抗議を始めた。この隙に私達はささっと申請をすませ、大使館をあとにした。 受け取りは2日後の午後。申請のときの教訓を活かし、早めに大使館に到着した。今日も申請のために並んでいる人はたくさんいる。そして相変わらず、順番の進み具合は遅そうだ。よくみると、私達が申請したときに来ていた人がたくさんいる。旅行会社のひとか、そのアルバイトなのだろう。それにしても、毎日来ているなら、もっと学習して、朝一にくればいいのにと思うのだが、今日もみんな午後まで待っているのだ。朝一に来ても午後までかかっているのかもしれない。私達の顔を覚えていたらしく、目が合うと苦笑していた。
 受け取りは(ミャンマー大使館にしては)スムーズに進み、無事、ビザを収得することができた。
 後日ミャンマーで、バンコクのミャンマー大使館で私達より後ろに並んでいた欧米人女性を見かけたので、彼女達も無事ビザを収得できたようで安心した。
 
 《教訓》 一、大使館には朝一に行くべし。一、言われた時間の5分前集合を目指すべし。一、忍耐が大事。

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